『ちいさくはじめるデザインシステム』読後メモ

#読書

TSKaigi 2025での発表でこの本が紹介されていて以前から気になっていたところ、ちょうど仕事でもデザインシステムを構築する話が持ち上がり、体系的に学ぶ必要性を感じて読んでみた。

感想

デザインシステムをこれから学ぼうとしている人にとって、まさに最適な一冊だと感じた。SmartHRの具体的な事例がふんだんに紹介されており、使われているツールや実際の運用プロセスなど、現場の実践に根ざした知見が多く盛り込まれている。

各章末に収録されている「SmartHRの人々から見たSmartHR Design System」というコラムで、社内のリアルな声からデザインシステムの進化の過程を垣間見ることができて面白かった。

本を読み進めるうちに、SmartHRという会社そのものに対しても好印象を抱くようになった。サービス自体はこれまで使ったことがなかったが、デザインに対する姿勢や組織としての在り方に共感する部分が多く、企業としての姿勢に惹かれた。

印象に残った言葉

私たちがデザインシステムを作って運用していく目的は、プロダクト開発においては「顧客への提供価値の品質や提供スピードを向上させること」であり、ブランドコミュニケーションにおいては「あらゆるタッチポイントで一貫したブランドを体現できる状態を作ること」です。(p.23)

「ブランドコミュニケーション」という考え方は目から鱗。 プロダクトだけでなく、社外資料やSNSまで含めてブランドを「デザイン」するという視点は、自分にとって新鮮だった。

皆の名刺をカラーチップに(p.89)

少し緑がかった独特の青「SmartHR Blue」を、だれでも・効率よく・迷わずに確認できるように、名刺そのものをカラーチップにしたという工夫に感動した。 コストを抑えながらも、ブランドイメージを守るための実践的でスマートな方法だと思う。

思想や哲学のないデザインは空虚です。それはただ道具と素材と格言が寄せ集まったものになってしまうでしょう。(p.44)

運営理念からの一節。「何のためのデザインか?」を考える重要性を改めて感じた。こういう言葉を紡げるUXライターの力は本当にすごいと思う。

デザインシステムをどこから手を付けるべきか迷っているなら、ぜひ「便利なコンテンツを作る」ところから始めてみてください。(p.26)

まさにタイトルの「ちいさくはじめる」を体現する言葉。SmartHRも最初はコンポーネントライブラリからスタートしているとのことで、自分も実践していきたい。

ユーザーの時間は有限だ。私たちのプロダクトは、仕事の時間をよりよくするためのソフトウェアです。ユーザーの生産性を高めることによって対価を得ていることを忘れてはいけません。(p.108)

デザイン原則の一節。フリーランスでエンジニアをしていると、ユーザーの存在を忘れてしまいがちになる。常に意識したい姿勢だと感じた。

参考

サービスやツール

デザインシステム

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